○ 第一歩は考えることから (指導法)
○ 解けることより解こうとすること (小学生の算数)
○ 例1 いきなり通分 (小学生の算数)
○ 例2 みはじの公式は × (小学生の算数)
○ 例3 いつも解があるとはかぎらない (中学生の数学)
○ 例4 一言で分かる現在完了形 (中学生の英語)
○ 例5 公式に頼るとできない ? (高校生の数学)
○ 例6 関係代名詞の訳は,モニターを使って(中3の英語)

◆高校生になると,ほとんどの人が公式に頼ってしまいます。そして,その公式の意味も分からずに数値を代入することで公式を理解したつもりになりがちです。そんな時にはちょっと意地悪な問題を出します。順列確率で例を示しましょう。数珠順列は円順列÷2という公式があります。そこで,青玉1個,赤玉2個,白玉4個の円順列,数珠順列を求めさせます。円順列は簡単に求まります。しかし,そこで手が止まります。なぜなら円順列が15通りになるからです。7.5通り・・・ではおかしいですね。ここで,こどもたちは「なぜ円順列を2で割ると数珠順列になるか」を考え直さなければならなくなります。それを乗り越えて初めて公式の意味を理解し身につける事ができるのです。

◆「2直線の交点を求めるには,連立方程式を解けば良い。」・・・・多くの子がこのように単純に解き方を覚えてしまいます。そこで次の2直線の交点を求めさせます。

◆私は分母の異なる分数の足し算の問題をいきなり出題します。多くのこどもたちが「やり方習ってない・・」と反応します。「やり方を自分で見つけるのが算数だよ。」と返します。こどもたちにはすでに約分などの知識を持っています。それらの知識を組み合わせれば解ける問題です。しばらくするうちに,一人,一人,また一人と「分かった」と解き始めます。この瞬間,彼らは通分の仕方を考え出す能力を身につけます。これは覚えたことではないので,一生消えません。通分のできない大学生が多いと言われています。しかし,この子達は決してそうならないのです。

こどもたちは一瞬手が止まります。この連立方程式には解がないからです。交点を求める方程式に解が無いとはどういう意味なのか,それを考えることで,こどもたちは直線の交点と連立方程式の関係を理解していきます。

◆小学生時代覚えたことを覚えていますか? 中学生の時に覚えたことは結構覚えているものですが,小学生時代に覚えたことは,使っていないとほとんど忘れてしまいます。だから解き方を覚えて解けるようになっても,中学生になって解けなくなってしまうことがよくあります。小学生時代,大切なことは,問題を解けることより解こうと努力することです。その過程で解法を見つける能力が身に付きます。そして,一度身に付いた能力は一生消えません。

指導方針

◆関係代名詞を使った文の訳は,中学生にとってけっこう厄介な問題です。それは日本語と修飾語の位置が反対だからです。 「私が買った−時計」が英語では「時計−私が買った」という語順になりますね。後ろから前にかかっていく・・・この修飾関係がなかなか理解出来ないようです。そこで大型モニターの画面上で,英文を英語の文図にし,日本語に変換して,語句単位で移動させることで訳を完成させる。そんな演習をします。これだと,自然に分かってもらえるようです。

◆例題の解き方を教えてから類題を解いていく。・・・よくある指導方法です。しかし,せっかくの「考えるチャンス」をみすみすのがしてしまう指導法ではないでしょうか。
◆当塾では,まず「考える」ことから入ります。最初に問題を与え,子どもが考えて自分で解き方を見つけるように誘導していきます。がんばれば子ども達が自分自身の力で解ける問題を与え,解法へそっと導く。指導者に力量がないとできません。

解法を覚えるのではなく理解する。 理解するだけでなく,理解する能力を身につける。社会に出てからも役に立つ本当の学力を養う。それが最大の目標です。ここでは,その具体的な指導法を紹介します。

◆塾では使いませんが,「道のり」「速さ」「時間」の問題を解くために「みはじ」の公式というものがあります。円の中に3つの言葉をならべ,×,÷が簡単に分かるようにしたものです。便利な方法ですが,電卓やグーグルレンズで問題を練習するようなものです。だからこれを使い始めたこどもはなかなか本質を理解しようとしてくれません。理解しなくても解けるのですから。
◆私は,この分野の基礎指導に1ヶ月近くかけます。「1分間にシュークリームを3個食べる人がいます。30個食べるのに何分かかるかな・・・」などという身近な問題から,道のりの問題へゆっくり進みます。その過程で「×か,÷か?」それを自然に理解してもらいたいのです。友だちに「なぜ割るの」と聞かれたときに,「そんなんあたりまえやんか」と答えられるようになってほしいのです。
◆ところが「みはじ」の公式をつかうと,何も理解していなくても,この過程を1回の授業で済ますことができます。道のりと速さ・時間の関係を「みはじ」の公式で済ませたこどもは,忘れては覚え,また忘れては覚えることを中学・高校で繰り返さなければなりません。そうならないためには,少ししんどくてもこの公式を使わずに,1回ずつ「×か,÷か」を考えることが大切です。

◆普通,現在完了形は4つの型に分け,その1つ1つを説明して英文をパターン化して指導されまます。しかし,これは少し古い,がちがちの文法英語です。私はこどもたちに現在完了形について一言「現在完了形は○○○○な表現だ」と説明します。ところが,このたった一言でこどもたちは4つの現在完了形のどのタイプでも自然に訳せるようになります。だって英語の世界で生まれ育った人は,そんな難しい文法は考えないで使えるのですから当然ですよね。現在完了形の本質を学び,その後テスト対策として(テストではがちがちの文法問題が出題されます。)4つに型に分けて整理します。「○○○○」が何だって?それを知りたい人は児玉塾で勉強してください。